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2009/10/06

リボンの名前~ある親子馬のはなし

 わたしのHN、リボンは、じつはある馬の名前からもらったものです。

 もうずっと昔、わたしは牧場で働いていました。簡単にいうと競走馬に魅せられて、それで北海道の牧場に行ったのでした。もう20年近く前のことです。
 牧場の仕事は大変でしたが、馬と暮らしたい一心で、どんなことにも耐えられたように思います。牧場での日々は、わたしの一生の宝です。

 日高を離れてたくさんの時間が流れて、世話した馬たちのほとんどはもう生きていないかもしれません。でも、数頭、今も元気にしている馬たちがいて、わたしは毎年会いに行くのが楽しみでした。 

 Eru1 2008年秋のエルプス

 そんな中の一頭にエルプスという牝馬がおり、彼女は桜花賞というクラシックレースの優勝馬でした。もう24年前の優勝馬で、エルプスは今年27歳になりました。
 馬の27歳はそうとう高齢で、20歳を過ぎると老衰などで亡くなる馬も多いです。
 でもエルプスはいたって健康で、去年もおととしも、その前の年も、元気にしており、今年も会えるのを楽しみにしていたのですが、9月15日に怪我のため急死してしまいました。
 ファンが多い馬でしたから、新聞やネットのニュースでも大きくとりあげられました。

 Eru_2 顔に差毛が目立っても元気だったのに・・

 シルバーウイークに日高行きを予定していたわたしは、大きなショックを受けました。
 あのエルプスが・・病気ではなく怪我で死んでしまうなんて・・・。
 馬房の中で転倒して大腿骨骨折、その日のうちに安楽死の処置がとられたそうです。
 もうどうしようもなかった、かわいそうだったよ、と牧場のばあちゃんが言っていました。

 917_041右がエルプス
 

 エルプスは、桜花賞の他にも重賞レースを多数勝っていて、引退後も多くのファンが牧場を訪ねてきました。まさに輝かしい軌跡です。しかし、その生い立ちは恵まれたものではありませんでした。エルプスが生まれた頃牧場は経営危機に陥り、多くの馬が四散していき、エルプスも母馬と一緒に牧場を追われたのでした。薄汚れた仔馬に寄り添っていたその母馬の名はホクエイリボンといいました。

 それから母馬はとある牧場に引き取られ、娘はやがて競馬場で大活躍をすることになります。そして引退した娘は母馬の待つ牧場に帰ってきたのでした。
 わたしがこの親子に出会うのは、そのずっとあとのことです。

 出会ったころのホクエイリボンは、お婆ちゃんながらチャーミングで慎ましやかな馬で、高齢ゆえに若い馬たちに虐げられて、放牧地でポツンとしている姿をよく見かけました。
 ばっちゃん、ばっちゃん、ってみんなに呼ばれていました。
 影が薄いばっちゃんに、わたしはこっそりニンジンや青草を差し入れしては、鼻面を撫でて励ましました。

 Ribon_11 放牧地にたたずむリボン
 

 普段おとなしいホクエイリボンでしたが、ある日、風の強い日に放牧されるとき、怒鳴り散らしているおじさんを蹴ってしまい、そのおじさんは肋骨を骨折してしばらく入院するはめになってしまいました。そのせいか、ばっちゃんが牧場を出される(廃馬)かもしれないという話を耳にして、わたしは涙ながらに牧場主に直訴したことがありました。ばっちゃんは悪くない、おじさんはいつも大声で怒鳴り散らし馬がかわいそう、ばっちゃんは絶対悪くない。あんなに大人しい馬はいない、わたしがばっちゃんの面倒を見るからどうかばっちゃんを牧場から出すなんて言わないでください。ばっちゃんは悪くないです、悪いのは人間のほう・・。
 わたしの願いは叶い、その後もホクエイリボンは牧場にいることになりました。ばっちゃんよかったね、よかったね、ってばっちゃんの鼻面を撫でた日のことを今も忘れることはできません。

 Ribon_31 リボン(右)とエルプス親子

 けれども、わたしが牧場をやめて内地にもどり、しばらくしてからリボンは牧場からいなくなりました。
 ばっちゃんを守れなかった。わかっています。誰も責めることはできない。だけど何でこうなるの・・

 牧場時代、たくさんの馬を世話しました。どの馬もいとしい馬たちです。みな可愛く賢く美しかったです。

 中でもホクエイリボンという名を口ずさむたび、大事な友を思い出すような感覚になります。
 そんなわけで、ホームページを立ち上げるときにHNには迷わずリボンの名前をつけさせてもらったのでした。

 Sterusu1 エルプスの妹ステルス

 毎年娘のエルプスに会うのが楽しみでした。30歳まで生きられるね、ってみんなで言っていたのに。
 けどもう、会えなくなりました。本当に残念です。
 
 ホクエイリボン、エルプス、その妹のステルス。
 みないなくなってしまったけれど、この親子に出会えたこと、ほんの数年でも世話できたことを、今はしみじみ思い出す。身に余るほどのありがたい経験でした。

 Eru3
 エルプス13歳の冬 若かったね 

 なんとなく、リボンのはなしをしたくなり、懐かしい写真など探してみました。

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コメント

馬さん、綺麗です。
エルプスさん、大事にされていたのに残念でしたね。リボンさんが思い出したりすることがエルプス親子にとって嬉しい事だと信じてます。

投稿: hayaka | 2009/10/07 09:46

早香さん
エルプスが亡くなって、一般ファンの方々がブログやHPでいろいろな想いを書いておられ、本当にすばらしい競走馬だったと思い知らされています。
そんなエルとリボン親子と一緒に過ごした日々、けっして忘れない。
リボンの名前も、わたしが引き継いでいきます^^

投稿: リボン | 2009/10/07 20:13

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